【ZOOM】第162回 “詩の読書会” ポエトリーカフェ・高見順 篇

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【ZOOM】第162回 “詩の読書会” ポエトリーカフェ・高見順 篇

双方向コミュニケーション型《気さくな詩の学び場・朗読》

2025/5/24(土) 15:00~2025/5/24(土) 17:30

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第162回【ポエトリーカフェ:高見順 篇】

[日時] 5/24(土)15:00~17:30(定員12名に増)
    *ZOOMを利用したオンライン開催

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《高見順》詩人・小説家(1907-'65) 福井県坂井郡三国町生まれ

【略歴】県知事の父と母・高間古代の間に私生児として出生。東京に転居。10代はじめに詩らしきものを創作。社会主義に目覚める。のち村山知義の影響でダダイズムに傾倒。東京帝大(現 東大)文学部英文科入学。’28年、壺井繁治等と左翼芸術同盟(ナップ)結成。プロレタリア文学活動に熱中。'33年、治安維持法違反で逮捕・拷問を受ける(留置中、小林多喜二の虐殺を知る)。革命運動からの離脱を誓い、釈放。'35年、小説『故旧忘れ得べき』で転向左翼の葛藤や退廃を描き、第一回「芥川賞」候補に。文壇内外より注目される。30代、小説を中心に文筆活動、旺盛充溢。'41年、ジャワ島・バリ旅行からの帰国後、34歳で詩作を再開。太平洋戦争では陸軍報道班員として徴用され、ビルマ・タイ・中国など戦地へ趣く。合間の帰国後に鎌倉に転居。1945年5月に川端康成らと「貸本屋・鎌倉文庫」開設。41歳、肺結核となり、鎌倉のサナトリウムに入退院。43歳、第一詩集『樹木派』刊行。小説と文芸評論、詩の創作を続ける。40代後半、詩人達のアンソロジー詩集制作にも着手。55歳、芥川賞の選考委員に。伊藤整らと「日本近代文学館」設立準備に奔走、尽力を続ける。'63年、小説『いやな感じ』(第10回 新潮文学賞受賞)にて渾身の力を込め「昭和」という時代を描ききる。食道癌と診断され、全四回の手術を受ける。療養中に詩作。’64年、病床で書きつづけた詩をまとめ、詩集『死の淵より』刊行(野間文芸賞受賞)。'65年、「日本近代文学館」起工式にメッセージを贈り、その翌日、8/17に死去。享年58。

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重要事項が多すぎて、全く「略歴」ではない長文となってしまいました…

さて。5月のポエトリーカフェ:課題詩人は、前回の村野四郎さんとは「四郎」つながりで、福井県生まれの 鎌倉文士・高見順をとりあげます(ポエカフェでは、12年ぶり!)。
「昭和」を生き、苦悩や葛藤も含めた自身の経験やその時代を、作品にあざやかに反映した小説家であり、詩人です。
また、かれは報酬の少ない、文学の仕事に携わる人々の生活向上を常に考えていました。晩年には、病身をおして重要な近代文学資料の散逸を防ぐため「日本近代文学館」開設に最期まで尽力した人でもあります。

わたしの高見順 との出会いは10代の時。父親の書架にあった小説『いやな感じ』でした。めくるめく隠語。アナキストで“死にぞこない”のテロリストの主人公・四郎の「資本主義国家」転覆計画の挑戦と挫折… 激動期の昭和日本を覆う"いやな感じ"、空気感に圧倒されたことをおぼえています。
そして、20代半ば。すきな父が食道癌の末期でもう先が長くないことを知ったときに、手にしたのが 高見順が病床で書いた、詩集『死の淵より』です。自分の一冊目の本『心に太陽を くちびるに詩を』にもその際のことを少し記したので割愛しますが、人生のつらかった時期を支えてくれたのが、この詩集でした。

個人的な思い出はさておき。
高見順の詩は、簡潔・清廉かつ深淵で。すっと心に入ってくるものばかりです。
わたしたちの生を、きっと静かに支えてくれる詩の言葉に出会えるはず。

今年は、高見順の没後60年。今もなお新しい感受・発見を与えてくれる、高見順の生涯をたどりつつ、かれののこしてくれた詩を、皆で読みといてみませんか。

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〈詩をちょこっとご紹介〉

「葡萄に種子があるやうに」

葡萄に種子があるように
私の胸に悲しみがある

青い葡萄が
酒に成るように
私の胸の悲しみよ
喜びに成れ


「ツユ草」      
 
前庭のツユ草を
妻に摘んできて貰つて
枕もとに飾つた
 
ツユ草は
いかにも寂しさうな花だった
ツユ草を僕は好きだ
 
僕がツユ草を好きなのは
しかし
ツユ草が寂しさうだからといふのでなく
ツユ草はそのツユ草の花しか咲かせないさういふ花だからである
ツユ草はけんらんたるダリアの花を咲かせようとはしない
ツユ草はカボチャの花を咲かせようともしない
さういふツユ草の花を僕は好きなのである

(『樹木派』)


「魂よ」抄

魂よ
この際だからほんとうのことを言うが
おまえより食道のほうが私にとってはずっと貴重だったのだ
食道が失われた今それがはっきり分かった
今だったらどっちかを選べと言われたら
おまえ 魂を売り渡していたろう
第一 魂のほうがこの世間では高く売れる
食道はこっちから金をつけて人手に渡した
(略)

魂よ
おまえの言葉より食道のほうが私には貴重なのだ
くちさきばかりの魂をひとつひっとらえて
行為だけの世界に連れてきたい
そして魂をガンにして苦しめてやりたい
そのとき口の達者な魂ははたしてなんと言うだろう

(『死の淵より』)
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【参考文献】*入手難のものは古書や図書館などで入手できます

『現代詩文庫 1014 高見順詩集』(思潮社)
『高見順 詩集』(彌生書房)
『高見順 全集』第20巻〈詩〉(勁草書房)

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【ポエカフェって何?】
「ポエトリーカフェ」とは、2009年秋より「入りやすい、詩の入口を作ろう!」との思いでスタートした《気さくな詩の学び場》です。詩の活動を始めて以来「興味はあるけど、誰からなにから、読んだらいいのか」「楽しみ方が分からない」という方々に多く出会ってきました。そんな方々のなにか手がかりになれればと、こんな会をやっています。

ポエカフェ本編に入る前に軽く自己紹介タイムがあり。Pippoが詩人の生涯を紹介しながら、ご参加の方々に朗読いただき、自由に感想をのべてもらい、語らったり、自然に詩や詩人と親しめる流れをつくっています。詩や詩人についての知識などなくても大丈夫。初めてのかたも大歓迎!
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[ご参加の方へ]
★会で使用するテキスト:年譜・作品テキスト(全詩より代表作30~40篇をまとめたもの)
  事前にpdfにてメールご送付します。紙のテキストでご希望のかたには郵送します。

[ご参加にあたってのお願い]
★〈会で使用するテキスト〉は少人数の本講座用に主宰が作成したものです。コピー配布や、第三者へ貸与など、受講目的以外の用途で使用することはお控えください。
★〈ポエトリーカフェ〉は、みなで作品や詩人にふれて、楽しむことを目的とした会です。他のご参加者の方々への強い批判・否定、またハラスメントにあたる言動等はお控えください。注意してもやめない場合、退場いただくこともあります。

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2025/4/23(水) 18:30~

2025/5/20(火) 21:00

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