【神保町・神田伯剌西爾】第163回 “詩の読書会” ポエトリーカフェ・高見順 篇 in東京

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【神保町・神田伯剌西爾】第163回 “詩の読書会” ポエトリーカフェ・高見順 篇

2025/5/25(日) 19:00~2025/5/25(日) 21:20

神田伯剌西爾(神保町)

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第163回【ポエトリーカフェ:高見順 篇】

[日時] 5/25(日)19:00~21:20(定員15⇒17名に増)
  
    ※1ドリンク、オーダー別
     ※当会限定「ポエトリーおやつ」!あり(伯剌西爾さん協力)

[会場] 神田伯剌西爾(神保町)
      ※半蔵門線・三田線・新宿線「神保町」A7出口徒歩3分
  
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《高見順》詩人・小説家(1907-'65) 福井県坂井郡三国町生まれ

【略歴】県知事の父と母・高間古代の間に私生児として出生。東京に転居。10代はじめに詩らしきものを創作。社会主義に目覚める。のち村山知義の影響でダダイズムに傾倒。東京帝大(現 東大)文学部英文科入学。’28年、壺井繁治等と左翼芸術同盟(ナップ)結成。プロレタリア文学活動に熱中。'33年、治安維持法違反で逮捕・拷問を受ける(留置中、小林多喜二の虐殺を知る)。革命運動からの離脱を誓い、釈放。'35年、小説『故旧忘れ得べき』で転向左翼の葛藤や退廃を描き、第一回「芥川賞」候補に。文壇内外より注目される。30代、小説を中心に文筆活動、旺盛充溢。'41年、ジャワ島・バリ旅行からの帰国後、34歳で詩作を再開。太平洋戦争では陸軍報道班員として徴用され、ビルマ・タイ・中国など戦地へ趣く。合間の帰国後に鎌倉に転居。1945年5月に川端康成らと「貸本屋・鎌倉文庫」開設。41歳、肺結核となり、鎌倉のサナトリウムに入退院。43歳、第一詩集『樹木派』刊行。小説と文芸評論、詩の創作を続ける。40代後半、詩人達のアンソロジー詩集制作にも着手。55歳、芥川賞の選考委員に。伊藤整らと「日本近代文学館」設立準備に奔走、尽力を続ける。'63年、小説『いやな感じ』(第10回 新潮文学賞受賞)にて渾身の力を込め「昭和」という時代を描ききる。食道癌と診断され、全四回の手術を受ける。療養中に詩作。’64年、病床で書きつづけた詩をまとめ、詩集『死の淵より』刊行(野間文芸賞受賞)。'65年、「日本近代文学館」起工式にメッセージを贈り、その翌日、8/17に死去。享年58。

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重要事項が多すぎて、全く「略歴」ではない長文となってしまいました…

さて。5月のポエトリーカフェ:課題詩人は、前回の村野四郎さんとは「四郎」つながりで、福井県生まれの 鎌倉文士・高見順をとりあげます(ポエカフェでは、12年ぶり!)。
「昭和」を生き、苦悩や葛藤も含めた自身の経験やその時代を、作品にあざやかに反映した小説家であり、詩人です。
また、かれは報酬の少ない、文学の仕事に携わる人々の生活向上を常に考えていました。晩年には、病身をおして重要な近代文学資料の散逸を防ぐため「日本近代文学館」開設に最期まで尽力した人でもあります。

わたしの高見順 との出会いは10代の時。父親の書架にあった小説『いやな感じ』でした。めくるめく隠語。アナキストで“死にぞこない”のテロリストの主人公・四郎の「資本主義国家」転覆計画の挑戦と挫折… 激動期の昭和日本を覆う"いやな感じ"、空気感に圧倒されたことをおぼえています。
そして、20代半ば。すきな父が食道癌の末期でもう先が長くないことを知ったときに、手にしたのが 高見順が病床で書いた、詩集『死の淵より』です。自分の一冊目の本『心に太陽を くちびるに詩を』にもその際のことを少し記したので割愛しますが、人生のつらかった時期を支えてくれたのが、この詩集でした。

個人的な思い出はさておき。
高見順の詩は、簡潔・清廉かつ深淵で。すっと心に入ってくるものばかりです。
わたしたちの生を、きっと静かに支えてくれる詩の言葉に出会えるはず。

今年は、高見順の没後60年。今もなお新しい感受・発見を与えてくれる、高見順の生涯をたどりつつ、かれののこしてくれた詩を、皆で読みといてみませんか。

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〈詩をちょこっとご紹介〉

「葡萄に種子があるやうに」

葡萄に種子があるように
私の胸に悲しみがある

青い葡萄が
酒に成るように
私の胸の悲しみよ
喜びに成れ


「ツユ草」      
 
前庭のツユ草を
妻に摘んできて貰つて
枕もとに飾つた
 
ツユ草は
いかにも寂しさうな花だった
ツユ草を僕は好きだ
 
僕がツユ草を好きなのは
しかし
ツユ草が寂しさうだからといふのでなく
ツユ草はそのツユ草の花しか咲かせないさういふ花だからである
ツユ草はけんらんたるダリアの花を咲かせようとはしない
ツユ草はカボチャの花を咲かせようともしない
さういふツユ草の花を僕は好きなのである

(『樹木派』)
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「魂よ」

魂よ
この際だからほんとうのことを言うが
おまえより食道のほうが私にとってはずっと貴重だったのだ
食道が失われた今それがはっきり分かった
今だったらどっちかを選べと言われたら
おまえ 魂を売り渡していたろう
第一 魂のほうがこの世間では高く売れる
食道はこっちから金をつけて人手に渡した
(略)

魂よ
おまえの言葉より食道のほうが私には貴重なのだ
くちさきばかりの魂をひとつひっとらえて
行為だけの世界に連れてきたい
そして魂をガンにして苦しめてやりたい
そのとき口の達者な魂ははたしてなんと言うだろう

(『死の淵より』)
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【参考文献】*入手難のものは古書や図書館などで入手できます

『現代詩文庫 1014 高見順詩集』(思潮社)
『高見順 詩集』(彌生書房)
『高見順 全集』第20巻〈詩〉(勁草書房)他

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【ポエカフェって何?】
「ポエトリーカフェ」とは、2009年秋より「入りやすい、詩の入口を作ろう!」との思いでスタートした《気さくな詩の学び場》です。詩の活動を始めて以来「興味はあるけど、誰からなにから、読んだらいいのか」「楽しみ方が分からない」という方々に多く出会ってきました。そんな方々のなにか手がかりになれればと、こんな会をやっています。

ポエカフェ本編に入る前に軽く自己紹介タイムがあり。Pippoが詩人の生涯を紹介しながら、ご参加の方々に朗読いただき、自由に感想をのべてもらい、語らったり、自然に詩や詩人と親しめる流れをつくっています。詩や詩人についての知識などなくても大丈夫。初めてのかたも大歓迎!
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[ご参加の方へ]
★会で使用するテキスト:年譜・作品テキスト(全詩より代表作30~40篇をまとめたもの)
  事前にpdfにてメールご送付します。紙のテキストでご希望のかたには郵送します。

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