九龍ジョー×大石始×柳樂光隆 「不可視のカルチャー雑誌を編集する方法」 in東京
イベントは終了しました
九龍ジョー×大石始×柳樂光隆 「不可視のカルチャー雑誌を編集する方法」
編集者×ライター・編集者×音楽評論家
2017/1/31(火) 19:00~2017/1/31(火) 21:00
イベント受付開始時間 2017/1/31(火) 18:30~
「東京を編集する本屋」をコンセプトに開業したEDIT TOKYO。
このたび、東京のカルチャーシーンの最前線に立ち続ける編集者である九龍ジョーさんにイベント企画を依頼した際、彼から出てきた企画タイトルは「不可視のカルチャー雑誌を編集する方法」でした。
九龍ジョーさんに、その経緯を伺いました。
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突然ですが、僕の好きなプロレスラーに鈴木みのると高山善廣という二人がいます。
何年か前に二人が全日本プロレスに参戦したとき、同団体の至宝とされる三冠ベルトを足で踏んづけたら、「ベルトを何だと思ってるんだ」と批判されました。ファンのみならず、レスラーまで真剣に怒ってきたといいます。そのベルトをめぐり、どれほどの死闘が繰り広げられてきたか、どれほど伝統があるものなのか、そういったことを訥々と説かれたそうです。
しかし二人に言わせれば、かつての全日本のタイトルマッチでは、ベルトを凶器にするなんてことも普通にあったし、反則攻撃や、レフェリーが失神してよくわかないうちにチャンピオンが防衛してることだってザラにあったはずだと。
たしかにそうだったと思うんです。僕も世代的にそのような試合をよくテレビで観ました。
もとをたどれば、アメリカの大きな団体のチャンピオンが北米大陸を転戦しながらローカルチャンピオン相手に防衛戦をしていくわけです。ですから、チャンピオンシップといえど、あまり白黒ハッキリ着けるのではなく、お互いの顔を立てながら興行を成立させていくための智慧と文化の中で、不透明結着は一つの伝統ですらあったわけです。それらの象徴として「ベルト」は機能していた。
つまり、ベルトは「ありがたがる」ものではなくて、「使う」ものだった。
一見、伝統の「破壊」と思われた鈴木みのると高山善廣の暴挙こそ、古くから何度も繰り返されてきた風景だったわけです。ただ、そこにはもしかしたら現代ならではの新しさや捻りも少し加わっているかもしれない。
似たようなことが様々なカルチャーやメディアの現場でも起きているような気がします。
プロレスの喩えでかえってわかりくくなってるかもしれませんが、そしてそもそもわかりにくい話でもあるのですが、ようはこういうことだと思うのです。
ベルトは「権威があるから大事にしなくてはならない」のではなくて、その価値や機能は、歴史の縦軸と、現場の要請という横軸のなかで決まるのだし、その使い方は通常思われている以上にずっと自由なんだと。
以上のようなことを考えていたところに(今もってわかりにくいかもですが)、今回の企画をふっていただきました。
そこで真っ先に思ったのが、大石始さんと柳樂光隆さんのお二人と話をしてみたいということでした。
大石さんの音頭をはじめとする芸能や民族音楽、ワールドミュージックにおける仕事、また、柳樂さんの『Jazz The New Chapter』に代表されるJAZZについての仕事を常日頃、拝見していて思うのが、まさに、上に書いたような「自由」だったからです。
近年、大石さんとは韓国のインディーミュージックの現場でお会いし、DOMMUNEで一緒に番組もやりました。
柳樂さんとは、実はきちんとお話をしたことがまだないのですが、昨年、雑誌『POPEYE』が「ジャズと落語」という特集を組んだ際、ジャズ側の企画出しの中心を担ったのが柳樂さんで、落語側の担当はぼくでした。
ライター、編集、プロデュース、紙媒体、ウェブ、映像、イベント、インタビュー、フィールドワーク。
あらゆる方法やツールを駆使しながら、どこかお二人ともに感じるのは、それぞれが「見えないカルチャー雑誌」を編集されているのではないか、ということです。不肖ぼく自身、そういうところがあるので「雑誌」という言い方をしていますが(あと今回の企画のキーワードが「編集者」でもあるので)、大きくは「メディア」でも「風景」でもかまいません。
さらにこんなことを思います。
そもそも見えないのだから確信もできませんが、そういった不可視の雑誌を編集することはとても楽しい作業なのではないかと。
もちろん苦労も絶えないとは思いますが、心躍る瞬間はきっと多いはずで、その「心躍る瞬間」にこそ、エディット脳はフル回転するのではないか。
そういった方法はいかにして可能か、を念頭に置きながら、ざっくばらんにそれぞれが「今、面白い」「興味ある」ことについても話ができればと思います。
なにやら怪しいライター・編集講座の勧誘文のようになってきましたが、来場された方がここを起点に何かを始めたりするようなことが起こったりすれば、最高に嬉しいです。
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是非、この貴重な一夜をお見逃しなく。
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