やっぱり知りたい!ハンナ・アーレント

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やっぱり知りたい!ハンナ・アーレント

2020/8/1(土) 19:00~2020/8/1(土) 21:00

イベント受付開始時間 2020/8/1(土) 18:30~

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【概要】

なぜ、どのように、アーレントが注目されているのか?


 ハンナ・アーレント(1906-75)は、近年多方面から注目を集めている政治思想家です。従来は、政治思想の分野で研究をされてきましたが、最近では、哲学・社会学・教育学・アート・芸術・建築など多彩な分野で参照される機会が増えています。2013年に公開された映画『ハンナ・アーレント』も話題を呼び、その後、多くの研究書や解説書が出版されました。「悪の凡庸さ」という用語がメディアで紹介される機会も増えました。いまや研究者のみならず、多くの人がアーレントの思想に関心を持っているように感じられます。

 では、アーレント思想のどのような部分が現代にウケているのでしょうか。
 これは正直なところ、アーレントを研究している私(百木)からしてもイマイチよく分かりません。いくつか理由は思い浮かびますが、なにか決定的な答えは見つかっていません。同時多発的にいろんな人たちがいろんな関心からアーレントの思想に惹きつけられているように見えます。それ自体がひとつの興味深い思想現象だとも言えます。

 もともと1990年ごろに彼女が日本で注目を集め始めた際には、アーレントは左(リベラル)にも右(保守)にも明確に分類することのできない、新しい「公共性」の可能性を示す思想家として紹介されていました。古代ギリシア・ローマ以来の共和主義を重視する点では保守的(右)に見え、全体主義を批判して複数性(多様性)を重視する点ではリベラル(左)にも見える。実際に、アーレント自身も「私は左派の論者からは右派的だと批判され、右派の論者からは左派的だと批判されるのです」とあるシンポジウムで述べています。
 このように、一面的な分類を許さない、多様な側面を見せるアーレントの思想が、多くの人を惹きつける理由のひとつかもしれません。つまり、アーレントの思想それじたいが「複数的」な性格を持っているのです。

 アーレントの有名な概念である「活動」も、皮相的に捉えれば、それは古代ギリシア的な市民性を重視した、エリート主義的で男性中心主義的なものに見えます。しかし他方でそれは、女性や労働者やマイノリティにも開かれた、多元的でリベラルな性格も持っています。また(アウグスティヌスを経由した)キリスト教思想に由来する「出生」の思想と結びつく側面も持っています。ことほど左様に、「活動」という概念ひとつを取っても、アーレント思想の「複数性」が見えてきます。

 本講座では、アーレント思想のこうした多面的な性格に注目しながら、彼女の思想をできるだけ分かりやすく説明していきたいと思います。予備知識不要ですので是非ご参加ください。

(百木漠)


【参考文献】
川崎修『ハンナ・アレント』(講談社学術文庫、2014年)
仲正昌樹『今こそアーレントを読み直す』(講談社現代新書、2009年)
戸谷洋志・百木漠『漂泊のアーレント 戦場のヨナス――ふたりの二〇世紀 ふたつの旅路』(慶應義塾大学出版会、2020年)


【ナビゲーター】

百木漠(ももき・ばく)

1982 年生まれ。社会思想史専攻。現在、立命館大学専門研究員。京都大学人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。単著に『アーレントのマルクス——労働と全体主義』(人文書院、2018年)共著に『漂泊のアーレント 戦場のヨナス——ふたりの二〇世紀 ふたつの旅路』(慶應義塾大学出版会、2020年)などがある。


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・「stool 270」の詳細についてはこちらこちらをご覧ください。


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2020/7/17(金) 18:00~

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