日本文壇史入門 ー「文豪」たちの時代から現代へ in京都

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日本文壇史入門 ー「文豪」たちの時代から現代へ

2019/10/19(土) 13:00~2019/10/19(土) 16:30

イベント受付開始時間 2019/10/19(土) 12:30~

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日本文壇史入門 ー「文豪」たちの時代から現代へ

漱石・鴎外・芥川・谷崎といった、明治から昭和にかけてのいわゆる「文豪」たちも、一人ひとり孤立して何もないところから現在にまで伝わる「名作」を編み出したわけではありません。一つの作品が書かれ、それが後世まで残る名作と認められていく、あるいは認められずに消えていくまでの過程には、文学者の間で不断に繰り広げられてきた「正統なる文学とは何か?」をめぐる議論や論争、その結果としてのパラダイムの更新といった要素が分かちがたく存在しています。文学的価値をめぐる息詰まる熟議や駆け引きの行われるこのような「場」を、我々は時に「文壇」と呼んできました。
この講義では、明治末期から昭和初期に至るまでの30年ほどの時代を「文壇史」という観点から捉え、おなじみの名作たちがどのような状況の中で生まれてきたのかをお話しします。また、当時の文壇における議論や論争は、わたしたちが現代のフィクションを読み解く際に重要となる論点も示唆してくれます。文豪たちの群像劇から新海誠に至るこの講義を通じて、ぜひ文壇史のおもしろさに触れてみてください。

日程:
1日目 2019年10月19日(土)13:00〜16:30
前半(第1回):夏目漱石VS 森鴎外VS自然主義……小説の価値をめぐる死闘

夏目漱石、大地に立つ/島崎藤村『破戒』の衝撃/永井荷風に恋した谷崎潤一郎/白樺派登場/漱石vs鴎外vs自然主義/芥川龍之介がやってきた!
島崎藤村『破戒』(1906年)、田山花袋『蒲団』(1907年)がもたらした自然主義文学の隆盛。『吾輩は猫である』(1905年)で文壇に登場した東大講師、夏目漱石とその弟子たちの文壇進出。森鴎外、上田敏、永井荷風、谷崎潤一郎らが『三田文学』、『スバル』を中心に打ち立てた享楽主義。彼らは時に激しく論争しながらも、共に日本の近代文学を作り上げていく。
1905年~1916年前後までの文壇の動向や文学者同士の師弟関係、対立、友情、愛までをも、文学党派別にマッピングしながら解説します。

後半(第2回):大正文学の寵児、芥川龍之介VS 孤高の天才、谷崎潤一郎……大正文壇の人び

1916年という転機/白樺派と大正教養主義/谷崎潤一郎の苦悩と劇的な復活/大衆小説の時代と円本ブーム/探偵小説と江戸川乱歩/芥川龍之介、最後の戦い
夏目漱石と上田敏の死去。永井荷風の三田文学辞任、鷗外の小説断筆……1916年(大正5年)をもって日本の文壇史は一つの区切りを迎える。
新たな時代に突入した大正文壇をまず制覇したのは、亡き漱石を深く敬愛する白樺派と大正教養主義知識人たちだった。が、1920年代にプロレタリア文壇が誕生すると、彼らの理想主義・人格主義は激しい攻撃にさらされ始める。
大衆小説の隆盛、「円本」の爆発的ブーム……昭和に入り文壇が大きな転機を迎える中、漱石の遺した最優の弟子、芥川龍之介は心身の衰えと忍び来る狂気に苦しんでいた。薬物自殺を遂げるまで残り三ヶ月となった1927年4月、彼は最後の力を振り絞って谷崎潤一郎との「話の筋」論争に挑んでいく。
1917年~1927年前後までの文壇の動向と文学者同士の関係性を、詳細かつ具体的なエピソードを交えて解説します。

2日目 2019年9月20日(日)13:00〜16:30
前半(第3回):「純文学」の誕生と芥川賞制定……あるいは物語の物語

売れない既成文学/「純文学」の誕生/横光利一と純粋小説論争/芥川賞・直木賞、苦難の船出/ジャンル小説の位置と探偵小説文壇/太宰治の激怒/1960年代の「純文学論争」
大衆小説や円本が爆発的な売り上げをあげる一方、文壇人の書く小説や文芸誌は一向に売れない……芥川龍之介の死後、いよいよ隆盛する大衆文学の流行に押された文壇人たちは、「純文学」という言葉を用いて自らの立ち位置を定義し始める。純文学、すなわち「純」化された文学という概念が持ち出される時、切り捨てられる「不純」としての物語に着目した横光利一は、1935年に私小説形式にとらわれた純文学界を批判して「純粋小説」の成立を主張する『純粋小説論』を発表する。同年、文藝春秋社社長、菊池寛は優れた純文学と大衆文学に与える賞として「芥川賞」、「直木賞」をスタートさせるが……。
1927年~1935年前後における文壇の動向と「芥川賞」、「直木賞」の裏側を、様々なエピソードを交えながら解説します。

後半(第4回):近代文学の論点から考える現代の小説・映画・アニメ……黒澤明・小津安二郎から新海誠『天気の子』まで

ジャンルにおける純粋生産(マイナー)と大量生産(メジャー)/純文学の現状と村上春樹の特異性/日本映画における「メジャー」と「マイナー」の生成過程と現状/アニメーションにおける純粋生産/新海誠は国民作家足り得るか
昭和初期を境に日本の文学界には「純文学」と「大衆文学」の概念が本格的に導入されました。同一ジャンル内においてメジャーとマイナーという二つの界が発生してしまう現象は現在では文学のみならず映画、アニメなどの他メディアにおいてもしばしば見られ、こういった分断を克服出来る表現の必要性が長い間主張され続けています。
また、物語(偶然)に対する距離感や、私小説的な「告白」描写をどう捉えるかといった日本近代文学史上における大問題の中には、現在を生きる我々が今の小説、映画、アニメを読み解くにあたっても極めて有用な論点が多く含まれています。
戦後日本映画界の歴史や構造からアニメーション映画『天気の子』をはじめとする新海誠作品に至るまで、現代の小説・映画・アニメを近代文学史における論点から読み解きます。


ナビゲーター:
椎名健人(しいな・けんと)
1988年生まれ。京都大学大学院教育学研究科助教。近畿大学非常勤講師。国際日本文化研究センター共同研究員。専門は文学社会学。主な論文に「漱石をめぐる闘争――「木曜会」にみるホモソーシャルな関係性」(『京都大学教育学研究科紀要第65号』2019)など
2015年11月に『僕が吉田寮の長老になった理由』で出版甲子園4位入賞。2016年度京都大学教育学研究科研究科長賞。2018年5月より京都大学新聞紙上で谷崎潤一郎、芥川龍之介など、明治・大正・昭和初期の文学者たちを描いた時代小説『ラノベで読む日本文壇史』を連載中。

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2019/9/20(金) 15:00~

2019/10/19(土) 11:00

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1日目チケット(10月19日)

2,500円

2日目チケット(10月20日)

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