GACCOH全国出張版 東京編 「やっぱり知りたい!西周」第二回 新しい「日本語」を求めて in東京

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GACCOH全国出張版 東京編 「やっぱり知りたい!西周」第二回 新しい「日本語」を求めて

2017/10/22(日) 15:00~2017/10/22(日) 17:00

イベント受付開始時間 2017/10/22(日) 14:30~

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GACCOH全国出張版 東京編 「やっぱり知りたい!西周」

 西周(1829-1897)とはいったい何者なのか。この問いに一言で答えるのは難しいでしょう。というのも、彼はある時は幕府の重役にして日本初の憲法案の提出者であり、またある時は日本哲学の父にして啓蒙思想家、あるいは明治政府の官僚にして悪名高い「軍人勅諭」の起草者にして、さらには教育者、政治家、という百面相的な人物であったからです。様々な立場を越境した西の活動は、当時より福沢から批判されただけでなく、戦後においても、一人の思想家として西周は「福沢と較べては群小」という判定さえ下されてきました。果たしてこのような評価は的を射たものなのでしょうか。

 本講座では、没後120年が経ち、明治維新150年が迫る今、改めて西の功績を見直してみたいと思います。その際、彼の仕事のなかでまず最初に挙げられるのは、西洋語(とりわけ哲学関連)の翻訳でしょう。まさに西は様々な訳語の考案によって、日本の哲学研究の礎を築いたと言えるからです。しかし西は、漢字で西洋語の訳語創出をする一方で、漢字の廃止や日本語のローマ字化などを推進していました。第一回および第二回では、翻訳と日本語論という西周の二つの言語実践を扱い、そこでの分裂や錯綜にも見える態度を一貫して捉える視座はないかを考えてみたいと思います。

 西は実証主義および功利主義に立脚しつつ、自由主義を唱える啓蒙思想家として活躍した反面、兵部省の官僚として山県有朋の元、軍制の整備にも尽力しました。ここにも西周のねじれがあるように思えます。第三回では、戦後における西周評価にも影響した、「軍人勅諭」等の起草者としての側面を扱います。当時の政治的・軍事的状況を踏まえ、草稿と条文の比較検討を行うことで、法・軍事思想家としての西の立ち位置を改めて確定させ、彼がいかに現実と向き合い、思考したかに迫る予定です。

また、ご参加いただいた方への特典として「西周をもっと知るためのブックガイド」をご用意しております。

第一回 西周と「哲学」の舞台裏

「…えー、哲学というのは、元々ギリシア語でフィロソフィアと言い、知を愛するという意味です。この哲学という訳語を作ったのは、西周という人ですが、彼は最初ギリシア語の意味に対応させて「希哲学」と(ちゃんと)訳したのですが、いつしかこの「希」がポロッと取れまして、今皆さんの使っている「哲学」という言葉が定着したわけです。」――日本中の大学における哲学の入門講義で、このような説明が繰り返しなされてきたことでしょう。しかし、実はこのような見方は、西の翻訳作業を過小評価してしまう危険に満ちています。西のテクストを注意深く追っていくと、そこには全く想像がつかないような格闘がありました。

第二回 新しい「日本語」を求めて

「日本語の表記をローマ字にせよ。」今ではぎょっとしてしまうような西の主張ですが、当時の日本語はと言えば、書き言葉と話し言葉が一致しておらず、「共通語」もありませんでした。それゆえ、明治初期の知識人たちは、時代の重要課題として新しい統一的な「日本語」のかたちを模索していたわけです。西周の一見突飛な日本語論を同時代人の議論のうちに位置付け、そこに込められた真意を探ってみたいと思います。

第三回 法の徹底と実装

“天皇や皇族が被告となった場合の裁判手続きについて” 当時こんなことを本気で考え、整備しようとした者はおそらく西周以外にはいないでしょう。のちの軍国主義の端緒として悪名高き「軍人勅諭」は、たしかに西周が起草したものです。しかし、その草稿は西の手を離れた後、いくつかの加筆や修正が加えられることになります。「軍人訓戒」や憲法草案などの資料やドキュメントの変遷を追うことで、西周のリベラルな法思想家としての姿を垣間見ることができるでしょう。
 
 
日程:
第一回 西周と「哲学」の舞台裏・・・・2017年9月23日(土) 17:00-19:00  終了いたしました。
第二回 新しい「日本語」を求めて・・・・2017年10月22日(日) 15:00-17:00
第三回 法の徹底と実装・・・・2017年11月25日(土) 19:00-21:00
 
参加者特典:「西周をもっと知るためのブックガイド」

主催:GACCOH
共催:よはく舎
 
 

ナビゲーター:

石井さん差替え小

石井雅巳(いしい・まさみ)

1990年、神奈川県横浜市生まれ。2016年慶應義塾大学大学院哲学・倫理学専攻修士課程修了。専門は仏独現代哲学(E. レヴィナス・現象学)と日本哲学(西周)。2016年4月より津和野町役場町長付 西周事業担当。NPO法人bootopia 副代表理事。論文に「瞬間・メシア・他性 ――『実存から実存者へ』の時間論分析――」、『哲学の探求』第42号、哲学若手研究者フォーラム、2015 年、pp. 315-334. 「『全体性と無限』における享受論の実在論的読解――レヴィナスはいかなる意味で現象学的か」、『フッサール研究』第13号、フッサール研究会、2016年、pp. 1-21. など。

 
 

参考文献

入門:山本貴光『「百学連環」を読む』三省堂, 2016年.
 「百学連環」は、西周が今から150年ほど前に私塾で論じた講義の記録であり、エンサイクロペディアの訳語でもあります。その内容とは、山本さんの言葉を借りれば、当時の西欧諸学にかんする「知のマップ」と言えるでしょう。本書は、そんな「百学連環」の総論部分を丁寧に読み解くもので、西周に近づくためのはじめの一冊としておすすめです。

中級:山室信一・中野目徹(校注)『明六雑誌』上中下, 岩波文庫, 1999; 2008; 2009年.
 ある思想家に近づくためには、やはり一次文献を避けることは出来ません。西周のテクストは、『西周全集』(全四巻、宗高書房)や『明治文学全集』 第3巻、『日本の名著』第34巻などでも読めますが、全集は入手困難ですし、他のテクストはほとんど旧漢字旧仮名遣いや漢字片仮名混じり文のためリーダブルとは言い難いでしょう。岩波文庫版『明六雑誌』は、行き届いた校注によって大変読みやすくなっており、同時代人との論争も一緒に追えることもあってお得です。

上級:島根県立大学西周研究会編『西周と日本の近代』, ぺりかん社, 2005年.
 島根県立大学西周研究会での研究成果をまとめた論文集です。西周の生涯のみならず、哲学、儒学、軍事思想、法哲学、日本語論、心理学など、彼が取り組んだ様々な学問分野が扱われており、その活躍ぶりをそれぞれの分野の専門家による研究によって知ることができます。巻末の文献一覧も充実していますし、本書を起点としてそれぞれの関心領域へと進むことができるでしょう。

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2017/9/24(日) 07:00~

2017/10/22(日) 14:00

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GACCOH全国出張版 東京編 「やっぱり知りたい!西周」第二回 新しい「日本語」を求めて

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