土方正志×東 雅夫 「即身仏さんたちとの再会」 in東京
イベントは終了しました
国内で確認されている即身仏18体をたずね、東北・信越・岐阜・京都を歩いた、異色の紀行文『日本のミイラ仏をたずねて』(1996年、晶文社刊)が、著者自身による「25年目のメモ」などを加え、装いも新たに復刊しました。
断食、木食、五穀断ちなどの過酷な修行を繰り返して痩せさらばえた行者が、自らの身を地面に沈め、「土中入定」を果たす。かつて、自らがミイラ化することで、衆生の救済をめざした僧侶たち、すなわち即身仏がいました。
“彼ら”一人一人を訪ね、丹念に取材した初刊本は発刊当時大きな話題となりました。
「あるいは刊行からかなり経ってからもさまざまな小説家のみなさんが参考文献にあげてくれたり(たとえば熊谷達也さん『迎え火の山』や京極夏彦さん『今昔続百鬼——雲 多々良先生行状記』など)、著書で触れてくれたり(有栖川有栖さん『作家の犯行現場』)、雑誌で紹介してくれたり(『見仏記』のみうらじゅんさん)と、意外なところで本書のタイトルに出くわしてびっくりしたりもした」(本書「はじめに」より——)
そんな〈知る人ぞ知る〉名著であった原著の復刊にあたり、著者の土方さんは “25年ぶり”にすべての即身仏さんたちのもとを再訪。彼らを守り継ぐ人々とも再会を果たしました。
彼らと対峙する著者・土方さんの優しくも真摯なまなざしに、怪しげなベールに包まれた「ミイラ仏」たちが、ぐっと身近な存在に感じられる一冊です。
このたびB&Bでは、『新編 日本のミイラ仏をたずねて』の刊行を記念して、対談イベントを開催します。迎えるゲストは、アンソロジストで文芸評論家の東雅夫さん。
極めて特異な信仰のかたちである「即身仏信仰」や「土中入定」が、なぜ東北を中心とする東日本で見られるようになったのか?
僧たちは、どのような願いをもって「即身仏」となる道を選び、人々は彼らをどのような思いで守り続けているのか?
など、東北の怪談・民話・伝承にも詳しい東さんとの対談を通して、「即身仏」たちの現在について迫ります。本書未掲載の「ミイラ仏写真」もご覧いただく予定。ご期待ください。
【出演者プロフィール】
土方正志(ひじかた・まさし)
有限会社荒蝦夷(あらえみし)代表。作家、エッセイスト。1962 年、北海道ニセコ町生まれ。東北学院大学卒。フリーライター・編集者を経て2000 年から2004 年にかけて『別冊東北学』(東北芸術工科大学東北文化研究センター・作品社)の編集を担当。2005 年、宮城県仙台市に荒蝦夷設立。雑誌『仙台』『盛岡学』『遠野学』『震災学』や「叢書東北の声」シリーズを刊行。著書に『ユージン・スミス 楽園へのあゆみ』(偕成社、産経児童出版文化賞)、『てつびん物語 阪神・淡路大震災ある被災者の記録』(奥野安彦と共著、偕成社)、『瓦礫の風貌 阪神淡路大震災1995』(奥野安彦と共著、リトルモア)、『闘う「車いす」 車いす革命の旗手たち』(日刊工業新聞社)、『ケンタロウス、走る! 車いすレーサーたちのシドニー・パラリンピック』(文藝春秋)など。近著に『震災編集者——東北の小さな出版社〈荒蝦夷〉の5年間』(河出書房新社)がある。荒蝦夷は震災後の出版活動により出版梓会新聞社学芸文化賞を受賞。
東 雅夫(ひがし・まさお)
1958年神奈川県生まれ。アンソロジスト、「幽」編集顧問。早稲田大学卒業後、「幻想文学」編集長を経て、怪談や幻想文学の著述・編纂・講演活動を展開。『遠野物語と怪談の時代』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『文学の極意は怪談である』(筑摩書房)、編纂書に『文豪妖怪名作選』(創元推理文庫)『ドラコニアの夢』(角川文庫)ほか。土方氏率いる〈荒蝦夷〉のほか〈東北怪談同盟〉ともに〈みちのく怪談プロジェクト〉を企画・推進している。
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