詩の学び場「ポエトリーカフェ〈金子光晴 篇〉」【第126回】

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詩の学び場「ポエトリーカフェ〈金子光晴 篇〉」【第126回】

11/8(日)15:00〜17:30(定員17名程度)

2020/11/8(日) 15:00~2020/11/8(日) 17:30

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Zoomを使った、気さくな詩の読書会です。今回は、愛知県生まれの 金子光晴(1895〜1975)をとりあげます。魅力的な海外放浪記などで有名ですが、若くして国家や権威・属性にとらわれぬコスモポリタン的思想をもち。戦時には、反戦の意志を込め、抵抗詩を発表しつづけた反骨の詩人でもあります。


この会では、Pippoが詩人の生涯を紹介しつつ、みなさまとともに詩をよみ(お一人ずつ朗読、感想など)自由に語らってゆきます。金子光晴をお好きなかたも、気になるけどあまりよく知らない、というかたも大歓迎!(知識・予習なしでもOK)


またこの日は、金子光晴魂を継承して、世界を放浪。そして仙台にて「book cafe 火星の庭」を開店し、今年20周年を迎えた――ご店主・前野久美子さんをゲストにお迎えします。(インタビュー集『一篇の詩に出会った話』にも登場されてます)

とても明晰でユニーク、行動力のある素敵なかたです。
ダブル司会的な感じになりますかと。
どうぞ、お気がるにご参加くださいね。


*1:会で使用する〈年譜・テキスト〉は事前にpdfにてご送付します。紙のテキストでご希望のかたには、郵送いたします(11/3日までにお申しつけください)。

*2:受付後、開催日の前日にミーティングルームのURLをご送付します。
*3:Zoomのミーティングルームは開催の30分前(14:30)に開場します。音声・カメラなど不安なかたはテストできますので、お早めにお入りください。




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〈金子光晴の詩をちょこっとご紹介〉


「反対」 


僕は少年の頃 学校に反対だった。
僕は、いままた 働くことに反対だ。


ぼくは第一、健康とか 正義とかがきらひなのだ。
健康で正しいほど 人間を無精にするものはない


むろん、やまと魂は反対だ 義理人情もへどが出る。
いつの政府にも反対であり、文壇画壇にも尻を向けてゐる。


なにしに生まれてきたと問はるれば、
躊躇なく答えよう。反対しにと。
ぼくは、東にゐるときは、西にゆきたいと思ひ、


きもの左前、靴は右左、袴はうしろ前、馬には尻をむいて乗る。
人のいやがるものこそ、僕の好物。
とりわけ嫌ひは、気の揃ふといふことだ。


僕は信じる。反対こそ、人生で
唯一つ立派なことだと。
反対こそ、生きていることだ。
反対こそ、じぶんをつかむことだ。


『赤土の家』(1919)より


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「くらげの唄」


ゆられ、ゆられ 
もまれもまれて
そのうちに、僕は こんなに透きとほってきた。
だが、ゆられるのは、らくなことではないよ。
 
外からも透いてみえるだろ。ほら。
僕の消化器のなかには
毛の禿(ち)びた歯刷子(ハブラシ)が一本、
それに、黄ろい水が少量。


心なんてきたならしいものは
あるもんかい。いまごろまで。
はらわたもろとも 波がさらっていった。


僕? 僕とはね、
からっぽのことさ。
からっぽが波にゆられ
また、波にゆりかへされ。


しをれたのかとおもふと、
ふぢむらさきにひらき、
夜は、夜でランプをともし。


いや、ゆられてゐるのは、ほんたうは
からだを失くしたこころだけなんだ。
こころをつつんでゐた 
うすいオブラートなのだ。


いやいや、こんなにからっぽになるまで
ゆられ、ゆられ
もまれ、もまれた苦しさの
疲れの影にすぎないのだ!


『人間の悲劇』1952年


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「若葉よ来年は海へゆこう」


絵本をひらくと、海がひらける。若葉にはまだ、海がわからない。
若葉よ。来年になったら海へゆこう。海はおもちゃでいっぱいだ。
うつくしくてこわれやすい、ガラスでできたその海は
きらきらとして 揺られながら、風琴のようにうたっている。
海からあがってきたきれいな貝たちが、若葉をとりまくと、
若葉も、貝になってあそぶ。
若葉よ。来年になったら海へゆこう。そして、ぢいちゃんもいっしょに貝になろう。



(『若葉のうた』1967年)




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【参考文献として】
本で読んでおきたい!というかたは、
清岡卓行編『金子光晴詩集 (岩波文庫)』
が新刊などで入手できますので、おすすめです。

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