地球永住計画 オンライン講演 〜写真で見る極限の世界〜 特別対談 長倉洋海×関野吉晴
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長倉洋海は通信社を退社した後、フリーのカメラマンとして世界の紛争地を渡り歩いた。「世界が驚くような劇的な写真を撮る」のが目標だった。だが、それは簡単なことではない。 転機になったのはエルサルバドルとアフガニスタンでの体験だった。
1980年代に内戦を取材したエルサルバドル。政府軍に従軍し、左翼ゲリラも取材したが、滞在するうちに、激しい戦闘シーンだけでなく、生活の場面にも伝えるべき大切なものがあると感じたという。腰を落ち着けて撮り始めると、それまで見逃していたことに目が向くようになった。
エル・サドルバドルの難民キャンプで偶然写真を撮った少女ヘスースの成長を通して内戦・大地震の痛手の中を逞しく生き抜くエル・サドバトルの庶民の姿が浮かびあがらせる。
20年にわたって長倉洋海は、彼女の成長とそれをとりまく社会の変貌を、幾度にもわたる訪問で追うことになる。1歳から17歳まで難民キャンプで過ごしたヘスースが、内戦終結後、難民キャンプを出てとうもろこし畑で汗を流している。かたわらには娘のジャクリーンと夫のフランシスコがいる。フランシスコも母をゲリラに殺され、父も兄もゲリラに加わり死亡した。彼自身も山岳ゲリラに身を投じた経歴の持ち主だった。
内戦の苦しさを知っている二人が力を合わせて生き抜く姿を見つめていく。
20年間の取材は写真集「ヘスースとフランシスコ、エルサルバドルの内戦を生き抜いて」の結実している。
広報用1枚目の写真説明
エルサルバドルの市場で母を待つ少女(1982年)長倉洋海撮影
よく通っていた市場で撮影された1枚。解放運動の標語が記された壁の前に裸足の少女がたたずんでいる。静かな写真だが、さまざまなことを考えさせてくれる。
長倉洋海は「写真は見る人の心のありようで変わる。見た人の想像力を引き出すのがいい写真なのでは」と語る。
1952年、北海道釧路市生まれ。京都での大学生時代は探検部に所属し、手製筏による日本海漂流やアフガン遊牧民接触などの探検行をする。1980年、勤めていた通信社を辞め、フリーの写真家となる。以降、世界の紛争地を精力的に取材する。中でも,アフガニスタン抵抗運動の指導者マスードやエルサルバドルの難民キャンプの少女へスースを長いスパンで撮影し続ける。戦争の表層よりも、そこに生きる人間そのものを捉えようとするカメラアイは写真集「マスード 愛しの大地アフガン」「獅子よ瞑れ」や「サルバドル 救世主の国」「ヘスースとフランシスコ エルサルバドル内戦を生き抜いて」などに結実し、第12回土門拳賞、日本写真協会年度賞、講談社出版文化賞などを受賞した。
2004年、テレビ放映された「課外授業・ようこそ先輩『世界に広がれ、笑顔の力』」がカナダ・バンフのテレビ祭で青少年・ファミリー部門の最優秀賞「ロッキー賞」を受賞。2006年には、フランス・ペルピニャンの国際フォトジャーナリズム祭に招かれ、写真展「マスード敗れざる魂」を開催、大きな反響を呼んだ。
1949年東京都生まれ。探検家。文化人類学者。医師。武蔵野美術大学名誉教授。1975年一橋大学法学部卒業。1982年横浜市立大学医学部卒業。1999年植村直己冒険賞受賞。2000年旅の文化賞受賞。2013年 国立科学博物館(特別展)「グレートジャーニー・人類の旅」開催。2002~2019年武蔵野美術大学教授(文化人類学)1971年アマゾン川全域を下る。その後25年間に32回、通算10年間以上にわたって、アマゾン川源流や南米への旅を重ねる。1993年から10年の歳月をかけて約5万3千キロ「グレートジャーニー」、その後、アフリカで生まれた人類が日本列島にやって来た主要3ルートを歩いた。
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