【神保町・神田伯剌西爾】第151回 ポエトリーカフェ《パウル・ツェラン 篇》 in東京
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【神保町・神田伯剌西爾】第151回 ポエトリーカフェ《パウル・ツェラン 篇》
気さくな詩の読書会
2024/2/25(日) 19:00~2024/2/25(日) 21:30
第151回【ポエトリーカフェ:パウル・ツェラン 篇】
[日時]3/3(日)19:00~21:30(定員13名ほど)
※ドリンク別 &当会限定「ポエトリーおやつ」!あり(伯剌西爾さん協力)
*(当初、2/25の予定でしたが、一週間、延期の開催に変更しました)
[会場] 神田伯剌西爾(神保町)
※半蔵門線・三田線・新宿線「神保町」A7出口徒歩3分書泉グランデ脇小宮山ビルB1F(小宮山書店の脇道を入って右の地下)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~パウル・ツェラン(1920-1970)戦後ヨーロッパを代表する、ドイツ系ユダヤ人の詩人。1920年11月、旧ルーマニア領のチェルノヴィツでユダヤ人の両親の元に出生。ドイツ語を母語として育つ。幼少期から、ルーマニア・フランス・ヘブライ語など多言語に才能を開花させ、十代半ばに詩作を開始。第二次世界大戦中の1942年、ナチの強制収容所で相次いで両親を殺される。ツェラン自身は、ナチスに奉仕する強制収容所で道路工事などの労働(日の出から日没までシャベル掘り)に従事。600万人のユダヤ人が殺された「ホロコースト」(ユダヤ人に対し、組織的に行われた絶滅政策・大量虐殺)をかろうじて生き延び、1948年、パリへ移る。以降は死に至るまでパリに住む。1970年4月、セーヌ川に投身、世を去る。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ツェランは彼にとっての母語であり、両親やユダヤ人を殺戮した者の言語であるドイツ語で終生、詩を書いた詩人です。ドイツの思想家・アドルノの言葉に「アウシュヴィッツのあとに詩を書くことは野蛮である」という一節があります。およそ非人道的な残虐な殺戮の果ての人間性の剥奪。これは、そのあとに「詩を書く」ことを始めとした “文化的営み”に果たしてなんの意味があるのか、という問いのように読めます。実際、のちにアドルノは「アウシュヴィッツ以降、文化はすべてごみ屑となった」(「否定弁証法」)と語っている。しかし、パウル・ツェランは絶望の底から「言葉」をつかんで立ちあがり、「生きるために」詩をつむいだのです。強制収容所での体験、ナチズムの惨禍によって刻まれた深い傷跡への慰撫、亡くなった無辜の人々への鎮魂の歌。それは報復や敵を殺すための行為や営みではなく、その「痛み」を忘却しないこと。人間と人間が国境や人種を越え、再び手をとりあうための「詩」であったように私には思えます。現在、イスラエルによるパレスチナ・ガザへの凄まじいジェノサイドの続く中で、言葉を失うような気持ちでおられるかたも多いかと思います。そんななかで、私は、ツェランの詩をしばしば読み返すようになりました。彼の詩はモダニズム・シュルレアリズムの流れをくみ、暗喩・隠喩、ドイツ語の韻の効果をはらんだものや、ドイツ・ユダヤ文学/思想・哲学 のハイネ・カフカ・フロイト・ベンヤミンを初め、多くの作家の言葉が刻印されていたり…と。正直、第二外国語としてドイツ語を学んでた私にも難解なものが多いです。だけれども、なぜだか胸にくいこんで離れない。(うわあ、むずかしそうだな…)と思った方、安心してください!私もなので。テキストは翻訳された詩をつかいます。その詩のひとつひとつに、ツェランのどんな思いや願いが込められているのか。いま一度、皆さんとともにゆっくり、少しずつ読みといてゆけたら、嬉しいなと思っています。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《詩をちょこっと紹介》「死のフーガ」より /飯吉光夫訳夜明けの黒いミルク僕らはそれを晩に飲む僕らはそれを昼に飲む朝に飲む僕らはそれを夜に飲む僕らは飲むそしてまた飲む僕らは宙に墓を掘るそこなら寝るのに狭くない一人の男が家に住むその男は蛇をもてあそぶその男は書くその男は暗くなるとドイツに宛てて書く君の金色の髪のマルガレーテ彼はそう書くそして家の前に歩み出るすると星が輝やいている彼は口笛を吹いて自分の犬どもを呼び寄せる彼は口笛を吹いて彼のユダヤ人どもを呼び出す地面に墓を掘らせる彼は僕らに命令する演奏しろさあダンスにあわせて(…)彼は叫ぶ大地にもっとシャベルを入れろこっちの奴らそっちの奴ら歌え演奏しろ彼はベルトの武器に手をのばす彼はそれを振りまわす彼の眼は青いもっと深くシャベルを入れろこっちの奴らそっちの奴らもっと演奏しろダンスにあわせて(…)夜明けの黒いミルク僕らはお前を夜に飲む僕らはお前を昼に飲む死はドイツから来た名人僕らはお前を晩に飲む僕らは飲むそしてまた飲む死はドイツから来た名人彼の眼は青い彼は鉛の弾丸(たま)を君に命中させる彼は君に正確に命中させる一人の男が家に住む君の金色の髪マルガレーテ彼は自分の犬を僕らにけしかける彼は僕らに宙の墓をおくる彼は蛇どもをもてあそぶそして夢みる死はドイツから来た名人君の金色の髪マルガレーテ君の灰色の髪ズラミート※1952年出版の第一詩集(『罌粟と記憶』1989)ーー(どこでもないところに)/中村朝子訳どこでもないところにある噛み跡。それともお前は戦わねばならない、ここから。(『糸の太陽たち』)ーー(切りとれ あの祈る手を)切りとれ あの祈る手を空中から目の鋏で、その指先を詰めよお前の接吻で――折り畳まれたものが 今息を呑ませる有り様で生じる。(かつて)かつて、死は大繁盛だった。お前はぼくのなかに隠れた。(褪せた声をもち)褪せた声をもち、深みから引きずりだされて――語でなく、ものでなく、その両方の唯一の名前、お前の中で落下にふさわしく、お前の中で飛翔にふさわしく、一つの世界の傷ついた獲得。
(『光輝強迫』)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ポエトリーカフェ」は気さくな詩の学び場です。
この会では、Pippoが詩人の生涯を簡単に紹介し、皆さんとともに作品をよみ(お一人ずつ朗読、感想など)自由に語らってゆきます。パウル・ツェランをお好きなかたも、気になるけどあまりよく知らない、というかたも大歓迎! 知識・予習なしでも大丈夫)。おトクな初ご参加枠もございます。どうぞ、どなたもお気軽にご参加くださいませ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【参考文献】
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チケット情報
このチケットは主催者が発行・販売します
《初ご参加枠》【神保町・神田伯剌西爾】第151回 ポエトリーカフェ《パウル・ツェラン 篇》
500円
【神保町・神田伯剌西爾】第151回 ポエトリーカフェ《パウル・ツェラン 篇》
1,500円
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