「エヴァンゲリオンから哲学する」 in京都

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「エヴァンゲリオンから哲学する」

──『Neon Genesis Evangelion and Philosophy』刊行記念連続対談

2022/6/12(日) 15:00~2022/8/17(水) 21:00

イベント受付開始時間 2022/6/12(日) 14:30~

GACCOH

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Open Universeという出版社には、Pop Culture and Philosophyというシリーズがあります。「スタートレックと哲学」、「パンクロックと哲学」、「スターウォーズと哲学」など、色々なものと哲学がカップリングされており、ポピュラーカルチャーに興味を持っている大学生が気楽に手に取って、「なんとなく哲学って面白そう!」と思ってもらえるような論考で構成されています。


2022年には、このシリーズの最新作である『新世紀エヴァンゲリオンと哲学(Neon Genesis Evangelion and Philosophy)』という書籍が出版されました。3年ほど前に企画され、この4月に出版されたばかりです。

この『エヴァと哲学』には、日本在住の三人の同世代の研究者が寄稿しています。それが、難波優輝、佐野泰之、谷川嘉浩です。この偶然の重なりを手放さないために、私たちは出版記念イベントを企画することにしました。

このイベントでは、いわゆる物語の「考察」を主目的にしていません。「エヴァンゲリオンから哲学する」というタイトルからわかるように、物語の読解を通じて〈哲学への扉〉を開いていくことを目的としています。

なので、「エヴァ」については、人物や用語、設定などの最低限の知識があれば、詳細まで知らなくとも話についていけるよう話し手たちは配慮します(ただし、ネタバレは避けられません)。

しかし同時に、ただ単に哲学するわけでもありません。〈物語の読解を通じて〉哲学への扉を開きたいのです。物語は、哲学に触れるための通過点や方便ではなく、何か教訓を得るために、作品に触れているわけではないからです。

では、文化を語ることにどんな意味があるのか、それを通して語ることの魅力はどこにあるのか。私たちは、個別のテーマを設定しながらも、対話シリーズを通して、こうした根本的な問いにも向かっていきたいと思っています。(文=谷川嘉浩)

第一回:「悲劇、反復、人生」
難波優輝×新井静×柏木純子
2022年6月12日(日)15:00〜17:00

エヴァンゲリオンシリーズでは、シンジ、アスカ、レイ、周りの大人たちが繰り返される苦しみの中でもがいている。物語の中では、ほぼ毎話のように使徒が襲いかかり、人間関係の軋轢によっても互いに傷つけ合う。

物語そのものも繰り返される。TVシリーズ、劇場版、新劇場版と、何度も物語自体が反復する。執拗に再上演されるエヴァシリーズ。TVシリーズでの不可解なエンドだけでなく、劇場版でのバッドエンドにもう一度たどり着き、さらに新劇場版でもう一度物語が始まった。絶望、別れ、痛みに何度も苦しむキャラクタたち。

この繰り返しの上演が悪趣味でないとしたら、そこに作り手たちのが込めた思いがあるのではないか?

難波は『エヴァンゲリオンと哲学』において「繰り返しの悲劇」の作品としてエヴァシリーズ全体を捉えた。エヴァシリーズ。それは私にとって人生のミニチュアモデルに見える。失敗して、やり直したいと思って、でもうまくいかなくて、それでも何度も繰り返す決意をして生きていく……。

演劇は繰り返しの中で以前の上演と未来の上演を比較することで初めて存在する出来事だ。こうした演劇は人生の別のあり方を創り出すのではないだろうか。人生は繰り返すことはできない。しかし、繰り返しの人生があるとしたら、人はどんな決意で生きるのだろう。繰り返し、という切り口から私たちはどんな風に人生を見つめ直せるのだろうか。

あるいは、演劇を見る私たちではなく、演劇を上演する彼らの目線から考えてみることはできないか。外部の者にとっては繰り返しの人生に思えるが、内部の者には自分の人生をもう一度生き直しているという意識はない。戯曲の内容を実行する(人類補完計画=ゼーレのシナリオを進める)うえで、上演ごとに別の人生を歩んでいるという意識はないものの、感情や行動に変化は生じる。目標や目的は毎回同じなはずなのに、どうしてそのプロセスは毎回違ってしまうのか。監督や批評家、観客の視点といった作品の外からの視点だけではなく、プレイヤー=演者=キャラクタの視点での「繰り返し」についても考えてみたい。

「芸術が人生を模倣する以上に、人生が芸術を模倣する」というオスカー・ワイルドの言葉に私たちは導かれている。エヴァは人生ではない。人生がエヴァなのだ。傷つき続けながらも未来を求めて語り合い、行動し、内省するキャラクタたち。

演劇学を専門とする新井静さんと柏木純子さんとの対話の中で、繰り返し悲劇に立ち向かうシンジたちが、私たちにある強さや弱さをどんな風に見つめてくるのか話していきたい。(難波&新井&柏木)


第二回:「孤独、弱さ、ケア」
谷川嘉浩×小川公代
2022年8月1日(月)19:00〜21:00

「新世紀エヴァンゲリオン」では、使徒からの撤退戦を演じている世界が描かれます。数限られた都市に色々な人々が集まり、肩を寄せ合って暮らさざるをえない世界です。
都市というと開かれた印象がありますが、「エヴァ」は、身を守るために「壁」で区切られた世界を描くことも珍しくありません(学校、船、基地、要塞、エヴァもまた区切られた世界でしょう)。これは言うまでもなく、都市に生きる人々が抱える、消すことのできない寂しさや不安、恐れから逃れるためのものです。
でも、「壁」は不安な気分を消してくれません。結局、不安や寂しさをうまく処理できず、他者に攻撃的になったり、依存的になったり、自暴自棄になったり、色々なものから逃避したりしてしまう。A.T.フィールドという心の「壁」も同じです。
不安や寂しさを感じている都市を生きる現代人は、こうした拭いがたい「弱さ」とどう向き合えばいいのでしょうか。

私は、『エヴァと哲学』において、TV版エヴァに登場する「東京/京都」という場所に注目しながら、都市を生きる人間の不安と、その解決策を検討しました。(論考では、ハンナ・アーレント、サスキア・サッセン、鶴見良行、東浩紀、オーギュスタン・ベルク、ジークムント・フロイト、鷲田清一、九鬼周造、作田啓一といった面々を援用しています。)
考察の手がかりは、冬月コウゾウと加地リョウジという対照的な人物です。彼らは、ともに「欲望」について考えながらも、対照的な帰結を迎えていきます。彼らはどのようにして欲望と関わったのでしょうか。

初めて「エヴァ」を観て以来、この作品に対する情熱を持続させてきたと語る、文学研究者の小川公代さんとの対談を通じて、不安や寂しさに当惑しながら都市を生きる自己のあり方を探っていきたいと思います。(谷川)


第三回:「自由、責任、成熟」
佐野泰之×横田祐美子
2022年8月17日(水)19:00〜21:00

第三回目のキーワードは「自由、責任、成熟」です。

「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公・碇シンジについては、これまで多くの批評家がその「未熟さ」を指摘してきました。それまでのロボットアニメの主人公たちとは違って、シンジは自分から主体的にエヴァに乗るわけではありません。彼はエヴァに乗ることを拒絶しながらも、状況に流されて否応なしにエヴァに乗る決断をします。そして、エヴァに乗るようになったあとも、エヴァは彼の意志を裏切るような行動を取り続け、彼はその行動がもたらした結果を自分のものとして受け止めることができずに苦悩します。

その苦悩の行き着く果てが、旧劇場版のシンジの台詞「僕には人を傷付けることしかできないんだ。だったら何もしない方がいい!」でしょう。自分の行動が自分に引き受けることのできない責任を次々と生み出していくという不条理な状況の中で、シンジが出した答えは「何もしない」というものでした。批評家の宇野常寛氏が、『ゼロ年代の想像力』の中でこのようなシンジの態度を「引きこもり/心理主義」的態度として苛烈に批判したことはよく知られています。

ところで、自分の行動が自分の望まない結果をもたらすかもしれないとき、行動することそのものを恐れ、忌避し、「何もしない」という(ある意味で平穏な)選択のうちに引きこもろうとするのは、果たしてシンジだけの問題でしょうか? 私たち自身もまた、日々の生活の中で何らかの重要な行動を起こす決断を迫られたとき、その行動がもたらす予期せぬ結果を恐れるあまり「何もしない」ことを選んだりはしていないでしょうか?

『エヴァと哲学』に寄稿した論考の中で、私は「実存主義」で有名なフランスの哲学者ジャン゠ポール・サルトルとシモーヌ・ド・ボーヴォワールの議論を参照しながら、シンジの「未熟さ」と一般に捉えられているこうした態度を「否定性」という人間の存在論的構造の一つの現れとして解釈しました。そして、「エヴァ」を発端として一九九〇年代から二〇〇〇年代にかけて流行した「セカイ系」というジャンルを、「否定性の文学」ないし「未熟さの現象学」として捉え直すことを試みました。

「人は絶対に本当の意味で大人になんてならない」――作家のミシェル・ウエルベックはある作品の中でこう書いています。「未熟さ」とは決して一部の「未熟な」人々の問題ではなく、私たち一人一人が自分自身のうちに抱える問題であるとすれば、私たちはそれとどのように向き合えばいいのでしょうか? そして、それを作品として描くことには一体どのような意味があるのでしょうか? 「エヴァ」の葛城ミサトをこよなく愛する哲学研究者の横田祐美子さんとともに、こうした問題について考えてみたいと思います。(佐野)




日程:
第一回:「悲劇、反復、人生/難波優輝×新井静×柏木純子」2022年6月12日(日)15:00〜17:00
第二回:「孤独、弱さ、ケア/谷川嘉浩×小川公代」2022年8月1日(月)19:00〜21:00
第三回:「自由、責任、成熟/佐野泰之×横田祐美子」2022年8月17日(水)19:00〜21:00

会場:
京都出町柳 GACCOH(京阪電車「出町柳駅」4番出口より徒歩5分)


【会場でのご参加について】

・来場の際にはマスクの着用をお願いいたします。
・消毒用のアルコールをご用意しておりますので来場の際にご協力をお願いいたします。
・当日、体調の優れない場合はご来場をお控えください。
・会場参加チケットをご購入された方も配信視聴、アーカイブ視聴が可能です。

【オンラインでのご参加について】

・お申し込みは当日の3時間前で締め切りとさせていだきます。
・配信はvimeoの限定公開機能を使用いたします。
・オンライン参加のチケットをご購入いただいた方には、イベント開始の2時間前にメールにてオンライン会場となるvimeoページのURLを送信させていただきます。
・イベント終了から2週間後の23:59までアーカイブ視聴が可能です。

お問合せ:gaccoh009@gmail.com


出演:

難波優輝
なんば・ゆうき
1994年生まれ。newQ所属。美学者。修士(文学、神戸大学)。専門は分析美学とポピュラーカルチャーとSF。共著に『SFプロトタイピング』(宮本道人・大澤博隆編著、早川書房)など。最近はキャサリン・Z・エルギンの認識論を研究している。

新井静
あらい・しづか
大阪大学大学院文学研究科博士後期課程在籍中。 専門は1970年以降の日本のアングラ演劇(唐十郎)を中心とした同時代の表象文化。

柏木純子
かしわぎ・じゅんこ
1993年、神戸市生まれ。演劇を中心に制作から教育、研究まで様々に活動している。宝塚北高校演劇科で舞台芸術に触れ、日本大学芸術学部演劇学科演技コースに進学、役づくりと衣裳の関係に興味を持ち、研究の道に足を踏み入れた。博士研究のテーマは「フランス演劇とジャポニスム」だが、現在一時中断している。

谷川嘉浩
たにがわ・よしひろ
京都市立芸術大学美術学部特任講師。専門はアメリカ哲学など。著書に『信仰と想像力の哲学:ジョン・デューイとアメリカ哲学の系譜』(勁草書房)。訳書に『質的社会調査のジレンマ:ハーバート・ブルーマーとシカゴ社会学の伝統』(マーティン・ハマーズリー著、勁草書房)。共著書に、『フューチャー・デザインと哲学』(勁草書房)、『メディア・コンテンツ・スタディーズ』(ナカニシヤ出版)、『ゆるレポ』(人文書院)、Whole Person Education in East Asian Universities: Perspectives from Philosophy and Beyond (Routledge)など。

小川公代
おがわ・きみよ
上智大学外国語学部教授。専門は、ロマン主義文学、および医学史。著書に『ケアの倫理とエンパワメント』(講談社)、『文学とアダプテーション――ヨーロッパの文化的変容』(共編著、春風社)、『ジェイン・オースティン研究の今』(共著、彩流社)、訳書に『肥満男子の身体表象』(共訳、サンダー・L・ギルマン著、法政大学出版局)など。

佐野泰之
さの・やすゆき
哲学研究者。日本学術振興会特別研究員PD。専門はモーリス・メルロ゠ポンティを中心とする二〇世紀フランス哲学。著書に『身体の黒魔術、言語の白魔術 メルロ゠ポンティにおける言語と実存』(ナカニシヤ出版)、『今からはじめる哲学入門』(共著、京都大学学術出版会)など。

横田祐美子
よこた・ゆみこ
哲学研究者。立命館大学衣笠総合研究機構助教。専門はジョルジュ・バタイユを中心とする現代フランス哲学ならびにエクリチュール・フェミニン。著書に『脱ぎ去りの思考 バタイユにおける思考のエロティシズム』(人文書院)、論考に「嶽本野ばらとアウグスティヌス 乙女と内に秘められた過剰の美学」(『ユリイカ』2020年9月号)など。


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2022/5/20(金) 11:00~

2022/8/17(水) 16:00

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オンライン参加チケット 第三回(佐野泰之×横田祐美子)

1,300円

受付中

オンライン参加チケット 第二回(谷川嘉浩×小川公代)

1,300円

受付中

会場参加チケット 第三回(佐野泰之×横田祐美子)

1,500円

受付中残り5枚

会場参加チケット 第二回(谷川嘉浩×小川公代)

1,500円

受付中残り4枚

オンライン参加チケット 第一回(難波優輝×新井静×柏木純子)

1,300円

予定枚数終了

オンライン参加チケット(三回通し)

3,000円

予定枚数終了

会場参加チケット 第一回(難波優輝×新井静×柏木純子)

1,500円

予定枚数終了

会場参加チケット(三回通し)

3,600円

予定枚数終了

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