やっぱり知りたい!アドルノ in京都

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やっぱり知りたい!アドルノ

2020/2/8(土) 13:00~2020/2/8(土) 16:30

GACCOH

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やっぱり知りたい!アドルノ

 テーオドル・アドルノという思想家の名前を耳にしたことはあるでしょうか?ホロコーストという人類史上類を見ない惨禍を招いた第二次世界大戦が終わってまもなく、彼は、「アウシュビッツの後に詩を書くことは野蛮である」と告げました。この言葉は、当時の西ドイツの文壇を騒がしただけでなく、今日に至るまで語り継がれています。ドイツ人にアドルノを研究していると伝えると、いつもきまって、「アドルノ、もちろん知ってるよ!難しすぎて誰にも読めないけどね」という返事が返ってきます。象牙の塔に閉じこもり、「アドルノ的なドイツ語」と呼ばれる極めて難解な文章を綴る孤高の思想家。一般に抱かれているのは、おそらくそんなイメージなのでしょう。しかし一方で、名前が広く知られていること自体、戦後社会でアドルノがいかに大きな存在であったかを物語っています。では、「否定性」や「弁証法」という用語で知られる彼の思想は、いったいどのように紡がれていったのでしょうか?本当に、知識人として社会にコミットしなかったのでしょうか?

 2019年にドイツで、これまで音声記録しか残されていなかったアドルノの講演『新たな極右主義の諸側面』(1967)が書籍化され、大きな話題となりました。これはもともと、新左翼と呼ばれる学生運動に対して極右主義が台頭し始め、社会問題となっていた時に、アドルノが学生たちの要望に応じることで実現したものです。右傾化の波が訪れている現代社会の問題を解く鍵を求めて、いま再び注目を集めているのです。ナビゲーターを務めます橋本は、現在この翻訳に取り組みながら、彼の実際の活動から現代的意義を発掘しようと試みています。この講座では、当時の社会状況を念頭に置きつつ、最新の研究成果をもとに、アドルノについて解きほぐしていきます。単に理論的な観点から著作を解釈するだけでは見えてこない彼の知識人像について、一緒に考えていきましょう。

日時:2020年2月8日(土)13:00〜16:30

前半:アドルノの思想を理解するために
 まず、いわゆる「フランクフルト学派」の歴史を簡単に概観します。それから、亡命先のアメリカでマックス・ホルクハイマーとの共著のかたちで執筆され、アドルノの主著とも言える『啓蒙の弁証法』の読解に移ります。なかでも、第1章「啓蒙の概念」および第4章「文化産業——大衆欺瞞としての啓蒙」に焦点を当て、ナチズムや現代文化に対するアドルノの視線を確認していきます。くわえて、同じく亡命中に紡がれたアフォリズム集『ミニマ・モラリア』を取り上げ、社会批判のパラドックスについて理解を深められればと考えています。

参考文献:
『啓蒙の弁証法』テオドール・アドルノ(徳永恂訳)岩波文庫、2007年
『ミニマ・モラリア——傷ついた生活裡の考察』テオドール・アドルノ(三光長治訳)法政大学出版局、2009年
『フランクフルト学派——ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ』細見和之 中公新書、2014年

後半:知識人としてのアドルノ
 では、亡命先のアメリカから帰国したアドルノは、戦後ドイツ社会でどのように社会批判を展開していったのでしょうか?まず、1950〜60年代の西ドイツの政治・文化的な状況をおさえることがとても重要になってきます。『プリズメン』に収録されている論考「文化批判と社会」に登場する、「アウシュビッツの後に詩を書くことは野蛮である」という言葉も、当時の時代情勢への批判として発せられたものなのです。そして、60年代末にピークに達する学生運動との対峙も、アドルノの知識人としての姿を捉える上で忘れてはいけません。アドルノの提示する「否定性」から「実践」は生まれてこないとして、学生運動の批判の対象となるのです。しかしながら、アドルノは実践的に社会に働きかけることを放棄したわけではありませんでした。

参考文献:
『プリズメン——文化批判と社会』テオドール・アドルノ(渡辺祐邦・三原弟平訳)ちくま学芸文庫、1996年


ナビゲーター:  
橋本 紘樹(はしもと・ひろき)

1992年滋賀生まれ。2017年〜2019年日本学術振興会特別研究員(DC2)。2018年〜大阪大学大学院医学系研究科医の倫理公共政策学特任研究員、2019年〜京都大学他非常勤講師。
訳書:『アーレント=ショーレム往復書簡集』岩波書店2019年(共訳:細見和之・大形綾・関口彩乃・橋本紘樹)
主要論文:「アドルノにおける二つのハイネ講演、あるいは文化批判と社会」日本独文学会機関誌『ドイツ文学』第156号(第59回ドイツ語学ドイツ文学振興会奨励賞受賞)

 
 

主催:GACCOH
共催:よはく舎

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