小林秀雄と人生を読む夕べ【その8】文学を読むIV:「実朝」 in東京

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小林秀雄と人生を読む夕べ【その8】文学を読むIV:「実朝」

(第2回/全6回)

2018/5/17(Thu) 18:50~2018/5/17(Thu) 20:30

Doors:2018/5/17(Thu) 18:30~

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 日本の近代批評の創始者・確立者として大きな足跡を残した小林秀雄は、深い思索と気風(きっぷ)のよい文章で、人生の教師としても仰がれ慕われました。その小林秀雄の主要な作品を順次取り上げ、小林秀雄とともに人生を読み味わっていく集いです。

 ご案内は、編集担当者として小林秀雄にじかに接していた新潮社の元編集者、池田雅延です。
 前半50分は各回の対象作品について池田氏がお話しします。後半40分は出席者全員での茶話会とし、池田氏が質問にお答えしたりしながら小林秀雄をより身近に感じるひとときを過ごします。

 講座「小林秀雄と人生を読む夕べ」、4月から始まったシリーズは<文学を読むIV>です。小林氏の批評活動は、文学に始まって音楽、絵画、骨董、歴史、哲学、学問……と多岐にわたりましたが、根幹には常に文学がありました。小林氏にあって「文学」とは、私たち人間にとって生きるとは何か、どういうことか、そこをどこまでも考えぬこうとする世界であり、音楽も絵画も歴史も哲学も、同様にすべてこの一点に発してこの一点に還ってくるからです。今回はその「文学」のなかでも、とりわけ広く知られて親しまれた作品・作者を読んでいきます。

 5月17日開催の第2回は「実朝」です。実朝は源実朝、鎌倉幕府を開いた頼朝の次男で、第3代将軍となりましたが、鶴岡八幡宮で兄・頼家の子に殺されます。彼は生前、将軍とはいえ幕府の実権を北条氏に握られており、歌に精魂を傾けざるほかありませんでした。
 小林氏は、幕府の手になったという歴史書「吾妻鏡」に、実朝横死の背景を探るところから筆を起し、彼の歌に「何かしら物狂おしい悲しみに眼を空にした人間」を読み取ります。
 広く知られた歌「箱根路をわが越えくれば伊豆の海や 沖の小島に波の寄るみゆ」についても、小林氏は大変悲しい歌だと読みます。「大きく開けた伊豆の海があり、その中に遥かに小さな島が見え、またその中にさらに小さく白い波が寄せ、またその先に自分の心の形が見えて来るという風に歌は動いている」と、過酷な運命を身に負い、じっと孤独に耐えていた実朝の心の調べを聴き取っていきます。講座では、小林氏の独自の読みを通じて「実朝」に迫ります。


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小林秀雄と人生を読む夕べ
第8シリーズ<文学を読むIV> について
*( )内は、発表年月/当時の秀雄の年齢/新潮社刊「小林秀雄全作品」の所収巻

【1】2018年4月19日 西行 (昭和17年11月/40歳/第14集)<終了>

【2】2018年5月17日 実朝 (昭和18年1月/41歳/第14集)


【3】2018年6月21日 徒然草 (昭和17年8月/40歳/第14集)

今日、「徒然草」は高校国語の古典入門に用いられ、古語や古典文法を学ぶための道具にされてしまって、それさえできれば「徒然草」はもうわかったとなっているのではないでしょうか。つまり、「徒然草」は古文の初心者にちょうどいい身辺雑記で、大学に受かってしまえば用はないと思われているのではないでしょうか。とんでもない誤解です。小林氏は言っています。「徒然草」を残した兼好という人は、僕たち批評を書く者にとっては大先輩である、彼が死んでから六百余年になるが、彼を凌駕するような批評家は一人も現れていないのである……。小林氏の批評は終始、人生いかに生きるべきかの探求でした。兼好はそういう批評の大先輩であり、最高峰だと言うのです。そこを精しく、具体的に読んでいきます。


【4】2018年7月19日 「悪霊」について (昭和12年6月/35歳/第9集)

ドストエフスキーの後期五大長篇小説の一篇で、「罪と罰」「白痴」に続く作品です。1869年、サンクトペテルブルク大学の学生ネチャーエフによって革命的秘密結社が起されましたが、その年の11月、一人の学生が裏切者としてネチャーエフの指令で殺害され、死体は石に縛りつけて池に遺棄されるという事件が起きました。「悪霊」はこの事件を契機として書かれました。スタヴローギンという20代半ばの美青年は、高い教養の持ち主でもありながら悪徳・悪行に喜びを覚えるという人物で、周囲に大きな影響を及ぼしますが内面の空虚に苦しみ、ついには自ら命を絶ちます。この作品でドストエフスキーが訴えようとしたことは何か、そしてこの作品のどこが小林氏を夢中にさせたのか、そこを読んでいきます。


【5】2018年8月9日 「カラマアゾフの兄弟」 (昭和16年10月/39歳/第14集)

「カラマーゾフの兄弟」もドストエフスキーの後期五大長篇小説の一篇で、「悪霊」の後に「未成年」を挟んで書かれました。物欲と淫蕩の権化というべき父をもつ3人の兄弟、すなわち野性的な情熱家の長男ドミトリー、虚無的な知識人である次男イヴァン、純真無垢な三男アリョーシャ、それに父が外で産ませて下男として使うスメルジャコフ、彼らを中心に父と子、兄と弟の葛藤が錯綜するなかで父親が何者かに殺されます。誰が、なぜ――。それと併せて、僧院で愛の教えを説き、アリョーシャに慕われるゾシマ長老と、無神論者イヴァンとの間に展開される「神の創った世界」をめぐる論争……。7月の講座に続き、この作品でドストエフスキーが訴えようとしたこと、そしてこの作品のどこが小林氏を夢中にさせたのかを読んでいきます。


【6】2018年9月20日 トルストイ(昭和24年10月/47歳/第17集)

小林氏は、トルストイに関してはまとまった作家論も作品論も残しませんでした。しかし、トルストイに対する敬意と評価はドストエフスキーに対するそれとまったく変わりはなく、ドストエフスキーは矛盾のなかにじっと坐って円熟していった人だが、トルストイは合理的と信じる道を果てまで歩かなければ気のすまなかった人だ、その点、トルストイの方がむしろ偏執狂的であったと言います。「トルストイ」とは別に書いた「トルストイを読み給え」という文章では、「あんまり本が多過ぎる、だからこそトルストイを、トルストイだけを読み給え。文学において、これだけは心得て置くべし、というようなことはない、(略)途方もなく偉い一人の人間の体験の全体性、恒常性というものに先ず触れて充分に驚くことだけが大事である」と記しています。


☆8月(第2木曜日)を除き、いずれも第3木曜日、時間は午後6時50分~8時30分を予定していますが、やむを得ぬ事情で変更する可能性があることをご了承ください。

※購入されたチケットは理由の如何を問わず、取替・変更・キャンセルはできません。ご了承ください。
※開場は開演の20分前です。


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今までの「小林秀雄と人生を読む夕べ」について

2014年10月から始まったこの集いは、<天才たちの劇><文学を読むI><美を求めて><文学を読むII><歴史と文学><文学を読むIII><美を求める心>と6作品ずつ読んできて、今年の4月から始まった第8シリーズは<文学を読むIV>です。
そして今後も、小林秀雄作品を6篇ずつ、半年単位で取り上げていく予定です。

*プロフィール
小林秀雄(こばやし・ひでお)
明治35年(1902)4月、東京に生れる。昭和4年(1929)27歳の夏、「様々なる意匠」によって文壇にデビュー、以来ほぼ半世紀、日本の近代批評の創始者、確立者として歩み続けた。昭和42年11月、文化勲章受章。昭和58年3月死去、80歳。
   
池田雅延(いけだ・まさのぶ)
昭和45年(1970)、新潮社に入り、「本居宣長」をはじめとする書籍の編集を通じて小林秀雄の肉声を聞き続けた。小林亡き後も第5次、第6次「小林秀雄全集」を編集、第6次全集では本文を新字体・新かなづかいで組み、全作品に脚注を施すなどの新機軸を打ち出した。

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2018/4/18(Wed) 18:00~

2018/5/17(Thu) 16:00

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全5回通しチケット(茶菓つき)

13,000Yen

第2回チケット(茶菓つき)

3,000Yen

第2回神楽坂ブッククラブ会員限定(茶菓つき)

2,800Yen

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